銚子といえば、全国有数の水揚げを誇る港町。その銚子港で水揚げされる代表的な魚のひとつが「いわし」です。
ただし、「銚子のいわし」といっても、いつでも同じ魚が、同じように水揚げされるわけではありません。
海が荒れて水揚げがない日もあれば、同じマイワシでも、その日によって大きさや太り具合、脂ののりが違います。
私たち魚屋が市場でまず気にするのは、
「今日はマイワシが揚がっているか」
そして魚を見て、
「今日は脂があるか」
ということです。
この記事では、銚子港で水揚げされる「いわし」、特にマイワシについて、旬や水揚げ、美味しい魚の選び方、おすすめの食べ方まで、日々魚を扱うヤマニ水産の視点からご紹介します。
この記事のポイント
- 銚子港ではマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどが水揚げされます
- 本記事では主にマイワシについて解説します
- マイワシは毎年同じ時期・同じ量が水揚げされる魚ではありません
- 魚屋が仕入れで気にするポイントのひとつが「今日は脂があるか」
- 梅雨時期の「入梅いわし」に加え、近年の銚子では8月にも脂の良いマイワシが見られます
- 美味しいマイワシの選び方や、おすすめの食べ方も紹介します
銚子のいわしとは?
銚子港で水揚げされる「いわし」は1種類ではありません。
代表的なものには、
- マイワシ
- カタクチイワシ(セグロイワシ)
- ウルメイワシ
などがあります。
その中でも、刺身、塩焼き、煮付け、フライなど幅広い料理で親しまれているのがマイワシです。
この記事では、主に銚子港で水揚げされるマイワシについて解説していきます。
マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシの違い
同じ「いわし」と呼ばれていても、それぞれ別の魚です。
マイワシは体側に黒い斑点が見られることが多く、成長すると比較的大きくなります。刺身や塩焼き、煮付け、フライなど幅広い料理に向いています。
カタクチイワシはマイワシより小型のものが多く、千葉県では「セグロイワシ」と呼ばれることもあります。煮干しや丸干し、佃煮などにも利用されます。
ウルメイワシは、その名の通り目が潤んで見えるのが特徴で、干物などにも使われます。
銚子港にはこれらのいわしが水揚げされますが、ここからはマイワシを中心に見ていきましょう。
銚子のマイワシの水揚げ|毎日獲れるわけではない
「銚子はいわしの町だから、一年中たくさん獲れる」
そんなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、実際の市場は少し違います。
マイワシは天然魚です。
海水温や海流、回遊する群れなど自然環境の影響を受けるため、毎年同じ時期に同じ量が水揚げされるわけではありません。
さらに、魚がいても時化(しけ)で海が荒れれば漁船が出漁できません。
そのため、数日間まったく水揚げがないこともあります。冬場など時化が続けば、1週間以上まとまった水揚げがないこともあります。
ですから、私たち魚屋は「銚子だから今日もマイワシがある」とは考えていません。
市場へ行くと、まず気になるのは、
「今日はマイワシが揚がっているかな」
ということです。

マイワシは豊漁と不漁を繰り返す魚
マイワシは、その日の天候だけでなく、長い期間で見ても資源量が大きく変動する魚として知られています。
過去には非常に多くのマイワシが獲れた時期がある一方で、その後、漁獲量が大きく減った時期もあります。
つまり、
「昔たくさん獲れたから、これからもずっと獲れる」
という魚ではありません。
年によって豊漁になることもあれば、まとまった水揚げが少ない年もあります。
日々の天候、海の環境、回遊状況、そして長期的な資源量。
さまざまな条件によって水揚げが変わるのが、天然のマイワシです。
魚屋が見るのは「今日は脂があるか」
マイワシが水揚げされていると、次に気になるのが脂ののりです。
市場では、
「今日は脂があるね」
という会話が聞こえてきます。
もちろん、鮮度はとても重要です。
そのうえで、その日のマイワシを見比べると、

- 身がふっくら太っている
- 少し細身になっている
- 大型の魚が中心
- 小型の魚が中心
- 脂がしっかりのっている
など、同じマイワシでも状態が違います。
これは季節によっても違いますし、同じ時期でも回遊してくる群れによって変わります。
そのためヤマニ水産では、「銚子産だから」という産地名だけで仕入れるのではなく、実際にその日の魚を見て判断することを大切にしています。
天然魚だから毎日同じではない
魚は毎日同じ品質ではありません。
同じ銚子港で、同じ時期に水揚げされたマイワシでも、大きさや太り具合、脂ののりが違います。
だからこそ私たちは、その年、その日の魚を見ます。
「今日は脂がある」
魚屋にとって、この一言はその日のマイワシを判断する大切な目安のひとつです。
銚子のいわしの旬・時期はいつ?
「銚子のマイワシが一番美味しい時期はいつですか?」
よく聞かれる質問ですが、実際には「○月だけが旬」と簡単に決められるものではありません。
よく知られているのが、梅雨の時期6月~7月の「入梅(にゅうばい)いわし」です。
梅雨の頃に脂がのったマイワシは「入梅いわし」と呼ばれ、銚子を代表する旬の味としても知られています。
一方で、マイワシは夏から秋にかけても脂がのる魚です。
そして、実際に日々魚を見ている私たちの感覚では、近年の銚子では8月頃に脂の良いマイワシが水揚げされる実感があります。
「今年は早くから脂がある」
という年もあれば、
「8月に入って良くなってきた」
という年もあります。
天然魚ですから、海水温や海流、回遊してくる群れなどによって、その年の状態は変わります。
そのため私たちは、
「6月だから美味しい」
「8月だから旬ではない」
というように、カレンダーだけで判断することはありません。
大切なのは、
「今、水揚げされているマイワシに脂があるか」
です。
「入梅いわし」は銚子を代表する旬の味
梅雨の時期に脂がのったマイワシは「入梅いわし」と呼ばれます。
刺身はもちろん、塩焼きや煮付けなどでも、脂のうま味を楽しめます。
ただし、「入梅いわし」という名前だけで、その日の魚の品質が決まるわけではありません。
その年によって水揚げ量や脂ののりは変わります。
入梅いわしについては、旬の時期や特徴をこちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ 入梅いわしとは?旬の時期・特徴・美味しい選び方を魚屋が解説
魚屋が教える、美味しいマイワシの選び方
スーパーや鮮魚店でマイワシを購入するときにも、美味しい魚を選ぶポイントがあります。
目安になるのは、
- 身に厚みがある
- お腹がふっくらしている
- 身にハリがある
- 目が澄んでいる
- 魚体全体に鮮度感がある
といった点です。
特に脂ののった時期のマイワシは、身がふっくらと太っているものが見られます。
いつも見ていればわかりますが、一般の方が外見だけで脂の量まで完全に判断できるわけではありません。
鮮魚店で購入する場合は、
「今日のいわし、脂ありますか?」
と聞いてみるのもおすすめです。
魚屋なら、その日の魚の状態を教えてくれるはずです。
銚子のいわしの美味しい食べ方
マイワシの魅力は、料理の幅が広いことです。
刺身から焼き物、煮物、揚げ物まで楽しめます。
特に脂ののったマイワシは、シンプルな料理ほど魚そのものの美味しさを感じられます。
鮮度の良いマイワシなら刺身
刺身で食べられる鮮度の良いマイワシが手に入ったら、ぜひ生で味わってみてください。
脂ののったマイワシは口当たりがなめらかで、魚のうま味をしっかり感じられます。
生姜、小ねぎ、大葉などの薬味ともよく合います。
生食する場合は、購入した鮮魚店などで生食可能な魚かを確認し、適切に扱ってください。

脂を楽しむなら塩焼き
マイワシの美味しさをシンプルに楽しめるのが塩焼きです。
軽く塩を振って焼けば、皮は香ばしく、身はふっくら。
特に脂ののったマイワシは、焼いている途中から脂がにじみ出てきます。
大根おろしなどを添えるだけでも、ご飯のおかずや酒の肴になります。

煮付け・フライ・なめろうにも
マイワシは煮付けやフライにもよく合います。
甘辛く煮付ければご飯が進むおかずになり、フライにすれば外はサクッと、中はふっくらとした食感を楽しめます。
また、新鮮なマイワシを細かくたたき、味噌や薬味を合わせる「なめろう」もおすすめです。
いわし料理をもっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
魚屋が作る「いわし漬け丼の具」
「新鮮なマイワシが近くで手に入らない」
「家で魚をさばくのは大変」
そんな方でも手軽にマイワシを楽しめるよう、ヤマニ水産では**「いわし漬け丼の具」**を作っています。
マイワシを一枚ずつ手開きして刺身用に切り付け、特製のたれに漬け込み、真空包装して急速冷凍しています。
解凍したら、温かいご飯の上にのせるだけ。
お好みで小ねぎ、大葉、刻み海苔、白ごまなどを添えるのもおすすめです。

マイワシ本来の美味しさを生かす
私たちが大切にしているのは、マイワシそのものの美味しさを生かすことです。
一枚ずつ手開きし、醤油・酒・みりんをベースに生姜を加えた特製だれで味付けしています。
魚を扱ってきたヤマニ水産だからこそ、マイワシの美味しさを手軽に味わっていただける商品にしたいと考えて作っています。
銚子のいわしについてよくある質問
Q. 「銚子のいわし」とはマイワシのことですか?
銚子港ではマイワシだけでなく、カタクチイワシ(セグロイワシ)やウルメイワシなども水揚げされます。
本記事では、食卓でもなじみの深いマイワシを中心に紹介しています。
Q. 銚子では一年中マイワシが水揚げされますか?
必ず水揚げされるわけではありません。
マイワシの回遊状況に加え、時化などで漁船が出漁できず、水揚げがない日が続くこともあります。
Q. 銚子のいわしの旬はいつですか?
梅雨の頃に脂がのったマイワシは「入梅いわし」と呼ばれます。
一方で、マイワシは夏から秋にかけても脂がのり、近年の銚子では8月頃に脂の良いマイワシが水揚げされる傾向があります。
天然魚なので「○月が必ず一番」と決めるより、その年、その日の魚の状態を見ることが大切です。
Q. 「入梅いわし」と普通のマイワシは違う魚ですか?
違う種類の魚ではありません。
「入梅いわし」は、梅雨の時期に脂がのったマイワシを指す呼び名です。
Q. 美味しいマイワシはどうやって選べばいいですか?
身に厚みがあり、お腹がふっくらしていて、身にハリがあるものなどがひとつの目安です。
鮮度を見る場合は、目や魚体全体の状態も確認します。
Q. マイワシのおすすめの食べ方は?
鮮度の良いものなら刺身がおすすめです。
そのほか、塩焼き、煮付け、フライ、なめろう、漬け丼など、さまざまな料理で楽しめます。
まとめ|銚子のいわしは「その日の魚を見る」
銚子港では、マイワシをはじめ、さまざまないわしが水揚げされます。
しかし、天然魚であるマイワシは毎日同じではありません。
たくさん水揚げされる日もあれば、時化などで水揚げがない日もあります。
魚があっても、大きさや太り具合、脂ののりは日によって違います。
だからこそ、私たち魚屋は実際に魚を見ます。
「今日はマイワシがあるか」
そして、
「今日は脂があるか」
梅雨の時期には「入梅いわし」と呼ばれる旬の味があり、一方で近年の銚子では8月に脂の良いマイワシが見られることもあります。
産地名やカレンダー上の旬だけではなく、
その年、その日の魚を見ること。
それが、私たちが長年魚を扱う中で大切にしてきたことです。
銚子のマイワシを見かけた際には、ぜひその時、その魚ならではの美味しさを味わってみてください。
